絵本と出会おう/エッセイのコーナー/田中清代

*絵本のこと
大学生のとき、「絵本創作研究会」という名前のサークルに入っていました。そこで製本や、本を作るということの他に、自分の作りたいものを作る、ということもやっていました。私はそこで初めて、絵本ってなんだろう、と思ったような気がします。

このごろ絵本が好きな人が増えているというし、時々私等にも「お話しして」という依頼が来るようになりました。でもいざとなると、さて何をお話ししたものやら、と途方に暮れてしまうのです。そんなわけで、ここではそういう時の備えとして(笑)絵本について普段思っていることを書いてみたいと思いたち、こっそりとページを作りました。もし見つけて読んでくださった方がいましたら、どうぞ、楽しんでいってください。

(2003年、12月)


こどものころは、絵本を特別美しいと思ってはいませんでした。絵本の記憶はどちらかといえば、質感や躍動感や、感情のほうが記憶に残っています。一番最初に美しいと感じた絵は、たしか、書店の袋に印刷されていた少女漫画の絵だったと思います。それからしばらくは、自分の身の回りで美しいものといえば少女漫画、ということになっていました。多分、小学校の1年生頃のことです。「だるまちゃん」や、「ぐるんぱ」を小学校に入ってから読みましたが、やはりストーリーの面白さと楽しさが印象として残っています。どうして絵本を「美しい」と感じなかったのかな。どうして少女漫画の絵や道ばたに落ちた小石や、金属のかけらや、雑草の小さな花と同じように愛でることがなかったのかな。ちょっとふしぎです。

 絵本はこどものもの、と思っているひともたくさんいると思います。自分が作り始めたとき、正直に言って全く「こども」のことは考えていませんでした。自分が絵本に感動し、魅せられたのが大人になってからなのです。それで、絵本を仕事にしたいと思った時に、大きなギャップがありました。絵本の編集者はおおかた、子供(主に幼児)という視点から作品を見るからです。__2004.1.7

 いくつか仕事をしていくうちに、絵本を「こどものもの」と思う方が面白いかも、と考えるようになりました。幼児の世界観に近づくことは簡単ではありません。こどもといっても、せいぜい小学生以上を想定していた私にとって、「幼児」は新しい存在でした。ありがたいことに、幼児期の記憶は結構ありましたので、よくよく思い出してみました。たとえば、2歳なんて赤ちゃんみたいなものだ、と大人になってから思っていましたが、自分の写真を改めて見てびっくりしました。自分でちゃんと覚えていて、結構いろいろ考えていたなあ、なんて思う出来事。そういう写真がいくつかあるなかで、そこに写っている自分が、どう見ても2歳くらいだったのです。

 だから、という訳でもないけれど、私は「こども」を、ものをしらない人、考えない人、という風には思いません。こどもはものすごい回転でもって、独特の世界を生きているのではないかな、と思います。__2004.1.13

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