出会い

先日下北沢にて、多摩美学生の作品展の会場ちかくに見つけた「うさぎの絵本」というカフェに行きました。
友人たちと会う予定だったのです。子連れだったので、子供が退屈しないで遊べそうなカフェを見つけた!という軽い気持ちで伺ったのですが、壁に設置された絵本の棚に、「トマトさん」がどーんと置いてありました。
嬉しくなった私は折りをみて、オーナーらしき方に作者と名乗りました。
そうしたら!! 予想以上に喜んでくださって、私もびっくり。
加えて、サイト更新とツイッターが滞っていることで、体調を崩したのかと心配してくださっていたとか…。
本にサインをさせていただいて、お土産まで頂いてしまいました☆
こんな偶然の出会いってあるんだなあ〜〜 と。
とても感慨深く、嬉しい出来事でした。

と同時にウェブに関しては、読者のみなさまに対して無頓着をしてしまっているのだなあと反省しきりです。

改めて自分のブログを見返してみると、なるほど、出産のことを全く書いていませんでした。
2012年10月に第一子、娘を出産しまして、1年半ほど絵本の仕事をお休みしていました。
2014年〜保育園に娘を預けて、仕事を再開。今は、作絵の絵本を製作中です。

子育てで心境が変化したまま、仕事を再開してもサイトの方に気持ちが向いていませんでしたが、
新しい絵本の完成に向けて、ウェブ上でも徐々に情報、近況等をアップしていこうと考えております。
どうぞよろしくお願い致します。

「気のいい火山弾」の原画が展示されます。

「気のいい火山弾」のサイン
「気のいい火山弾」のサイン

4月15日から、八ヶ岳小さな絵本美術館で「10人の絵本作家が描く宮沢賢治展」が始まります。
私は「気のいい火山弾」の原画を出品しています。

とても良い雰囲気の美術館で、以前から展示できたらなあと思っていた場所です。嬉しいです。
会場で販売される絵本30冊にサインをしました。
下の方の黒いのは火山弾ですが、これはハンコ屋さんに注文して作ったゴム版です。
真っ黒のようですが、うっすら顔が見えるようになっています。

「気のいい火山弾」の原画は毎度のことですが、銅版画雁皮刷り+がっつりの手彩色で制作しました。
登場する岩たちと、銅版画のタッチの相性が良かったと思います。インクの質感や、生成り色の紙のうえに白や浅葱の絵の具をのせているところが、原画でみるとより味わいがあると思います。

私の楽しみは、小さな絵本美術館のコレクションを観られること。フェリクス・ホフマンの銅版画が見られるといいなあ〜。

無意識にやっていたこと

先日、美大などで教えている、フィンランド出身の評論家の方に
絵本の感想を伺う機会がありました。

曰く、私の絵本は…
”本の画面を見開き・断ち切りでいっぱいに使っており
なおかつモチーフをはみ出させることで
キャラクターを近くに感じたり、
ページの外にイメージがひろがっていくようになって
感情表現や躍動感がより強くできたりしているんだね!
映画的手法(が効果的)ですね!”

とお褒めいただきました。
なるほど〜!
実は無意識にやっていたことなのですが、
改めてそう言われると、たしかに頷けるのでした。

今作っている本は、絵の外に余白を入れていて
これまた、ちょっと違うのですが
意識してやってみたらまた、
違う世界が見えるのかもしれないな…と思いました。

宮沢賢治絵本の打ち上げ

昨晩は飯野和好さんの個展会期(開催中〜13日まで、青山/ピンポイントギャラリー)に合わせ、今年の3冊の宮沢賢治絵本に携わったイラストレーター(飯野和好さん、大畑いくのさんと私)と編集者、それに印刷の営業担当者さんとで打ち上げがありました。このシリーズは編集者担当者が二人組なのですが、それでも入稿、校了時にはとっても忙しそうでした!(他のお仕事も掛け持ちされている方々であるということもありますが。)

こういう時に愉しいのは、最近の仕事の話もさることながら、子供の頃の記憶や駆け出しの頃の経験の話。最年長だった飯野さんのお話、いろいろな仕事で活躍中の編集者、松田素子さんの出版社での経験など。長い時間を経過してくると、いろんな違う状況があって、「今」にとらわれそうな時に別の可能性を発想できるのだなと思いました。

大畑いくのさんは、すばらしい画力があって、すでに貫禄を感じるくらいなのですけれど、絵本の仕事ではまだ新人とのことでびっくり。今回の絵本「土神ときつね」はすごい迫力があります。

飯野和好さんは、私は子供の頃から教材などで拝見していて、それから時代劇ものを描かれるようになって面白いなあと思っていたのですが、初めてご覧になったお芝居が旅芝居や歌舞伎(村歌舞伎かな?)だったとか。納得しました。子供の頃の環境が違うからこそいろんな作品が出て来るんですね。「山男の四月」では、ふるさとの山での体験もイメージされたということです。

印刷会社の方も、編集者や画家と現場の技術者との橋渡しの大切なことや難しさなどをお話くださいました。

「気のいい火山弾」では、もともと墨汁と黒インクしか使用していない灰色の「ベゴ石」を、色ぶれせずに印刷するために特別な加工をしています。そのおかげで、最終的な演出が出来たのがとても良かったです。

普段なかなか話せない実際の仕事の進行の外にあることを、こういう機会においしいものを頂きながら話せるのは愉しい!作品のアイデアだとか、これからの仕事や生き方のことまで、いろいろと考えをめぐらせる一夜となりました。

大阪にて

もう何日も経ってしまいましたが、大阪の「大阪府子ども文庫連絡会」へ講演をさせてもらいに、行ってきました。講演は今月14日でした。
前日の打ち合わせに参加してびっくり。10年以上前に開催した、「ものがたりをつくる・絵をかく」展(にしむらあつこ、市居みか、田中清代3人展)を観て下さった方がいらしたので…。そして今回コーディネーター役をして下さった方は「おきにいり」と「みつこととかげ」がちょうどお子さんが小さい時に読まれた本ということで、ずっと気に入って下さっているとのお話。うーんなんかすごい、と思ってしまいました。
私自身、一つの作品を作ったら終わりではなく、ずっと一緒に居るという感覚なのですが、(それで、未出版の本を出すのも、ついのんびりしてしまうのです)読者の方に絵本をずっと読んでもらえるか、ということは、時間が経ってみないと分からないことでした。ですから、ほとんど品切れ状態だった「おきにいり」や、今絶版の「みつこととかげ」に対する愛着を伺って、講演の内容も主に「おきにいり」と「みつこととかげ」に絞って、私の絵本づくりについてお話をしました。

実は、「おきにいり」は今月末に増刷され、書店注文が可能になります。「みつこととかげ」は来年2月から7月までの限定販売の予定がほぼ決まりました。
うれしいことです。

講演の後半は、「BLUE BOOK GROUP展」の報告と、私の社会に対する思いのようなものをお話しました。これもリクエストを頂いたからです。自分よりも年上の方が多いのに、平和とかなんだか重たいお話をするのは恥ずかしいような気もしますが、しゃべりだすと駄目です。若気の至りとおゆるし頂ければいいなと。

これは私がうっかりしていたのですが、実はその講演会の会場が大阪府立図書館でした。そこに以前ワークショップでお世話になった大阪国際児童文学館が、同じ建物に引っ越しされていました。帰るまえに短い時間でしたが、見学をさせてもらいました。もとの建物では折角専用の立派なホールがあったのに、少し殺風景な環境に置かれているのは少し残念だなあと思いましたが、縮小はされているものの、しばらくは今までどおりの活動をされるとのことです。「日産絵本と童話のグランプリ」も維持されるそうです。
皆さんと会って話しているうちに、昔からの友達に会ってるような気がしてきて、もっと遅い時間に指定席を取れば良かったと後悔。今回も前後に気がかりな仕事があって、新幹線に飛び乗ってしまったけれども、次回こそは、今回もお世話になった皆さんに、事前に連絡をとりたいなあと思ったのでした。

射水市大島絵本館でのイベント

原画展の入り口。
原画展の入り口。

1月30日に始まった富山県の射水市大島絵本館での原画展。開催にあわせ、トークイベントをさせて頂きました。スタッフの方から以前に市居みかさんと一緒に音楽をして良かったので、ということで提案があり、私も今回、音楽演奏をさせてもらうことに。絵本館スタッフのうち2人が、一緒にウクレレで伴奏をしてくれて、後半は私のオリジナル曲のコンサートとなりました。トークはいつも、デビューのきっかけなど、代わり映えのしない話なのですが…いつか「若手モード」から抜け出ることができるかな。

初めての富山ということで、どんな方々にお会い出来るのか、ドキドキしながらゆきました。スタッフの説明によると、大島絵本館は建物ができるずっと前から、シンポジ ウムを開催したり、絵本について考える機会を積極的に持っておられたそうです。それを「絵本通信」という雑誌にきちんと記録を残しながら、活動を 続けて来られているとのこと。

ウクレレライブ?
ウクレレライブ?

大島絵本館では、子ども向けに限らず、大人にも絵本を身近に感じてもらおう、という意気込みも感じられて嬉しく思いました。子どもたちが絵本づくりを体験できる、ワークショップも常設されています。

私のイベントでは、集まったみなさんはお子さんが多かったにもかかわらず、熱心に話をきいてくださいました。また音楽も、大き過ぎず小さすぎずのステキなホールで、気持ちよく演奏ができました。昔「おばけ」というバンドで演奏していた曲のうち、「てぶらでいこう」「風が強い日」「おしいれのうた」「きいちゃんとピッピの歌」をうたいました。歌は子どもたちに好評だったようです。
イベントの後はサイン会。みなさんの私の絵本にまつわる経験談、ご感想などを頂いて、元気が出ました!

ぎりぎりの時間までサインを書いていて、帰りはバタバタとしてしまいましたが、楽しい思い出になりました。

原画展はまだまだ開催中ですので、ぜひお運びください。

雪よけ
雪よけ
夕暮れどきの大仏
夕暮れどきの大仏

実家取材

道具たち
道具たち

お正月に実家に帰った折、父の仕事場を取材。

今まで知らなかったことをいろいろと教えてもらいました。この道具を見て、何の職業かわかりますか?
紳士服の縫製です。道具類の他、昭和30年代に出版された縫製の本も見せてもらいました。燕尾服やモーニングはもちろん、トンビやマントのパターンも載っている…。そんな本、今出ているのかなあ。
服の作り方を教えてもらえたらいいなあと思うのですが、なかなかそんな時間が取れず。でも手作りの服を見られる環境で育ったのは、良かったなと、思います。10年くらい前に父に作ってもらった服はすっかり古いデザインになってしまいましたが、またいつか着られる日まで…と大事にとってあります。
取材というのは、仕立て屋の絵本を作りたいと以前から思っていて、福音館の「かがくのとも」で、まずはやることになりそうなのです。時間はかかると思いますが、自分の人生とリンクした作品をいい感じに作れるといいなあと思っています。

お話を考える

しばらく絵を描いて過ごしていたので、お話を考える環境を整えようといろいろ、画策しています。学生のころは絵を描きながらもお話が考えられたのですが、最近は絵を描き始めるとそちらに忙殺されてしまい、平行して進めるのが難しいな、と感じていました。
なので、さしあたって時間の余裕をつくることが、第一の課題です。
これが意外とむずかしい。
なにしろ職業上の仕事は一人でやっているので、一方にはきちんとやればフルタイムでもいいくらいの事務仕事があり、また一方には家事があり、そして本業があり、さらに課外活動や勉強があり…。
どうしても取捨選択をしなければなりません。

結局は、減らすことよりも増やすこと。つまり、お話を考えることに時間を使うことで、他のことに手が回らなくても我慢出来るようにする、という方法が一番てっとり早いようです。

物語を書くことを意識していると、ものの見え方も違って来ると感じます。一時期、もうお話は書けなくなっちゃうんじゃないかと、不安に思っていたこともあるのですが…やはり時間との付き合い方の問題なんだな、と思うこの頃です。

師匠と呼ばせてください!

変なタイトルでスミマセン。
昨日、映画「This is it」を観てきました。
予想以上の収穫。映画が終わった頃にはぼーっとしていました。
クリエイター必見の映画だと思います。
マイケル・ジャクソン氏には亡くなってしばらくして、本を通して強く興味をもったのですが、理由は「今時絶滅したと思っていた種類のアーティスト」だという確信を持ったから、なんです。
大きなプロジェクトでみんなをインスパイアしてまとめていくのは、中心になるアーティストのオリジナリティーだと思います。簡単に言えば「世界観」。
ファイナルコンサートに、ここまでいろんなことを盛り込んで、大きな仕事を成し遂げようとしたジャクソン氏に心から拍手を贈りたい。

彼のインタビューや自伝などから垣間見えるのは、「デビューの早さ」がどれだけ彼の個性を作り上げたのか、ということです。幼い頃のマイケルは、いつも舞台の袖にいて、先輩の一流アーティストのパフォーマンスを一心に学んでいたそうです。そして、モータウンレコードのベリー・ゴーディという名プロデューサーの下で、レコードの為の職人的な音の作り方や、人々の心をつかむアレンジの方法などを学びました。私が注目したいのはその学んだ対称との「年齢差」で、彼は30歳にして音楽業界ではすでに「生きた化石」状態だったんじゃないかと思うんです(笑)たった10年の、同世代の人たちとのキャリアの違いによる、自分のレコードの作り方と、みんなのやり方との違いは歴然としていたと思うのです。でも、だから人と違うことができたし、(自分がすでにヴェテランだという)自覚があったからこそ新しいものと、古いものの良さを上手く使いこなすことが出来たのではないかなあ、と思います。

それにしても、「カウントをとる」だけでも音楽になってしまう場面を目の当たりにすると、みんなが彼を「師匠」と思う気持ち、分かります…。

個展終了

個展へお越しくださった皆様、ありがとうございました!
今回はずっとギャラリーに居たにもかかわらず、お話出来なかった方が何人かいて心残りでしたが、作品を見て頂けて嬉しかったです。

毎回来て絵を買ってくださる古いお友達(コレクターさん含む)にお会いすると、なんとなくホッとします。これからも誠実に作品を作り続けたいものだなあと思いを新たに致しました。
今回面白かったのは、お客様どうしで初対面のひとたちが、画廊でお茶をのみながら世間話をしてくれたことでした。東京に居ると、こういう場が意外と無いのです。とても新鮮で、これまた、心和むひとときでした。楽しかったなあ。
どんなお客さまでもかならずお茶を出してくれるオーナーの福山さんにも、毎度のことながらお世話になりました。彼女からは商売(仕事)の哲学を学ぶところが大きいです。一人で得をしようとは考えず、常に与える人なのです。会期中も、普段福山さんのお世話になっている作家さんたちが出入りして、にぎやかでした。人徳って本当に大事なんだなあと思います。

今年は初夏あたりから、ずっと走り続けてきたのですが、おかげでいくつかの仕事を仕上げることができました。このあとは、ミキハウスの宮沢賢治の絵本のシリーズと、安房直子の絵本、それからようやく作/絵の仕事にとりかかります(まだラフですが)。個展ではみんなに「作をやります」宣言をしました。挿絵の方が進行が早くて収入になるし、楽なのですが、あえて作に挑戦するぞ、…と、このところ自分に言い聞かせています。