新しい「長ぐつをはいたネコ」ができました!

「長ぐつをはいたネコ」ブロンズ新社より。
「長ぐつをはいたネコ」ブロンズ新社より。

新刊の絵本のお知らせです!!
「長ぐつをはいたネコ」
2012年12月配本
石津ちひろ 抄訳/田中清代 絵/シャルル・ペロー 原作
ブロンズ新社  A4版 32ページ 1500円

おなじみの名作「長ぐつをはいたネコ」が新たな解釈で絵本になりました!

……貧しい粉屋の息子が、亡くなったお父さんから引き継いだのは、たった一匹のネコ。がっかりした息子でしたが……
ちょっと生意気なネコと、素直な息子のコンビネーションで、びっくりするような運命を切りひらいていきます。音のリズムや調子が工夫された文章で、楽しく読み聞かせができます。どんどん変わる場面、つぎつぎに起こるありえない(!)事件を、この絵本で楽しんで頂けたら嬉しいです。

この絵本の制作にあたって、私の工夫したところは、石津ちひろさんの軽妙な演出を最大限に活かすためにどんな絵を描くかということでした。
名作ということもあり、いままでの「長ぐつ」とは違うイメージの絵本にしたいと思いました。

まず、この絵本の演出として、とてもコミカルなお話の各場面において、一目で面白味が伝わるようにしました。「絵でおかしみを伝える」という考えを柱に、”この場面では粉屋の息子はどんな表情をしているだろう?”とか、”ネコの性格をよく表す姿ってどんなかな?”とか、”この場面は一枚の絵だけれど、次に起こることを想像して笑えるようにしたいなあ” など、いろいろと考えました。

「マッシュポテトみたいに、つぶしてやるからな!」
「マッシュポテトみたいに、つぶしてしまうからな!」思い切った構図、色彩に挑戦しました

また、原画を作る段階では、私としては初めて、Macを使ってデータ入稿に挑戦しました。コンピューターを使っても私らしさを出せるように、普段版画に使っている和紙をスキャンして使用したり、木版画やリトグラフの色版をイメージして色をつけたりしました。

主線は紙に鉛筆で描いてスキャンしました。そのあと、Photoshopを使用して色をつけました。いつもの紙の原画では水彩絵具などでじかに塗るのですが、コンピューターを使った場合、失敗を恐れる気持ちが少なく、色選びを普段よりも大胆にできたので、他の私の絵本よりも色があざやかになっています。色の印象の違いを感じてもらえたら嬉しいです。

制作しながら、古典を絵本化する難しさと同時に面白さを感じたことがあります。麦畑の資料を探していたときの事です。ブリューゲルの絵に麦畑の絵があったのですが、見渡すかぎりの広大な畑が、金色の麦のふとんで覆われているように見えました。その麦のぎっしりと大地をおおう様子が「豊かさ」を象徴しているなあとしみじみと伝わってきたのです。この絵本でも、時代を超えた感覚を絵で伝えたいなと思いながら作りました。

……などなど、いろいろな過程を楽しんで作った絵本です。

書店で見かけたら、ぜひ手に取って、見てみて下さい!!

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ブロンズ新社

高村光太郎の詩集に絵を描きました!

高村光太郎
智恵子の切り絵をイメージした表紙

2011年10月に出版されたを高村光太郎の詩集をご紹介します。

「日本語を味わう名詩入門8 高村光太郎」
萩原昌好 編
田中清代 画
あすなろ書房
1500円

この詩集は、小学校高学年から大人までを対象に編纂されたあすなろ書房の「日本語を味わう名詩入門」というシリーズの一冊です。これまでに宮沢賢治、金子みすゞなどが出版されていて、それぞれに違う画家が挿絵を描いています。私はその8冊目「高村光太郎」の挿絵を担当しました。

この本には、光太郎の初期から晩年まで25篇の詩が掲載されていて、一篇の詩ごとに、文学研究者の萩原昌好さんの解説文がついています。挿絵は全部で25点描き下ろしました。

私は今回、挿絵だけでなく、掲載する詩を選ぶのにも参加させてもらいました。
実は私は大学生のころ、高村光太郎の詩が好きで、一人で音読をしたりしていました。それで特に光太郎の詩には思い入れがあったのです。

最初候補になかったもので、私が推薦して入れてもらったのは、「火星が出ている」「人類の泉」「手紙に添えて」など、光太郎の文学者というよりは彫刻家/芸術家としてのものの見方や生き方を表した詩です。子どもたちに、人生の含蓄ばかりでなく、光太郎の若々しい情熱や反骨心に共感してもらいたいという気持ちがあります。

中の挿絵は鉛筆画を深緑色のインクで刷ってもらいました。少しクリーム色のあたたかみのある書籍用紙で、めくっていて気持ちがいい感じの仕上がりになったと思います。表紙は光太郎の妻で画家でもある、智恵子が晩年病床で夢中になったという切り絵に触発されて、私も初めて切り絵に挑戦してみました。

少しストイックな、でも人間味にあふれた高村光太郎の詩に子どもたちが初めてふれる本として、ふさわしいものになっているといいなと思います。

「火星が出ている」の見開きページ
「火星が出ている」の見開きページ



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あすなろ書房のHP