インク練り

「くろいの」制作の様子を振り返ってみたいと思います。

2018年の3月ごろ。インク練りをしました。私の絵は銅版画としては線が軽めなので、黒の強い濃いインクで刷らないと、全体が薄くなってしまいます。
実は、大学での恩師、深澤幸雄さんのオリジナルインクを使って出来上がった私の画風。卒業後しばらくしてインクのストックがなくなった時に、市販のインクでは同じにならない!ということに気がつきました。(遅いですね!)

一時はそれでも良いか、と思いましたが、やはり「深澤インク」を使って原点に戻ろう、と思ったのが、2009年出版の「うおいちば」の原画制作のとき。市販のインクだと、さらっと綺麗に刷れてしまうのが、深澤インクだと線が太く、にじみが強いんです。この、もっさりした線の感じがやっぱり好き。ということで、今回も作り置きが切れたので、原画制作で忙しくなる前にインクを練りました。

インク練りの写真
お菓子の缶をウオーマー(中に電熱器が入っている)の上に乗せて使います。

顔料の粉を使うので、結構周りが汚れます。手袋とマスクで重装備。
ウオーマーの上の缶に、材料を入れてひたすら混ぜるだけ!滑らかになるまで、20分くらい混ぜました。

インク練りの材料
使う材料は、「ダイヤモンドブラック」という顔料、オフセット用の墨、銅版画インク。写っている缶は墨の方です。
インクの写真
ひたすら混ぜます!

出来上がったら、使用済みの版画インクの缶に詰め、蓋をする前に表面にトレーシングペーパーをラップ。(普通のラップよりトレペの方がなぜか持ちがよい。油が染み込むからかも。)食品用の脱気袋にしまい、道具をきれいにして作業完了です。

インクは空気(酸素)と反応して固まります。汚れたものをそのままにしておくと、数日後にはインクが固化して落ちなくなってしまいます。片付け、掃除は大切な作業過程なのです!

インクができて一安心。インクが少なくて余分を乗せられないと、版に傷がついてしまったり、いろいろと都合が悪いのです。これで心置き無く刷れるようになりました。
3月の時点では、一通りO.K.レベルまで版を作ってありましたが、仕上げと本番の刷りはこれから、というところでした。

投稿者:

Kiyo Tanaka

絵本作家/銅版画家