BIB展に行ってきました

 2019年の年末〜2020年の年始にかけて、東欧(ウイーン、プラハ、ブラティスラヴァ、ブダペスト)に行ってきました。
もともとの目的は、BIB展(Biennial of Illustrations Bratislava)を見に行くこと。
 今回、「くろいの」の原画が展示されました。

12月24日〜
 東欧へのアクセス入り口ということで、ウイーン!
ウイーン在住の友人に情報を尋ねたところ、「クリスマスマーケットをやっているよ」とのこと。ハテ、、それって何?と思いつつ行ってみたら、とても素敵でした。
しっかりしたログハウス風の露店がたくさん並び、様々なタイプのクリスマスオーナメントを売っていました。美味しいホットドッグや、ホットワインも。いつか子供と乗ってみたかった仮設遊具(メリーゴーランドと、観覧車)にも乗りました。

ウイーンのクリスマスマーケット。

 ウイーンでは、クリスマスイブを過ごすことになったのですが、クリスチャンでもなんでも無い私たち。とはいえ折角なので、クリスマス礼拝を覗きに深夜の教会にも行ってみました。他には親子で楽しめる「長靴をはいたネコ」のミニミュージカルを観に行ったり。
 美術史美術館では、パンフレットに掲載された作品探しをして絵画に飽きる娘(小一)をなんとか引き止め……、工芸品や歴史的遺品のコーナーになったら娘も楽しそうでした!幸運にも、ちょうどアルベルティーナ美術館で開催されていたデューラー展も観ることができました。デューラーによるデザイン画やイラストもあり、巨匠の顔ではない、職人らしさを発見しました。

12月26日〜

ウイーンから列車でプラハへ移動しました。

プラハの美しさに改めて感動しました!観光客もいっぱいでした。


 実は今回出かける前に、大変気軽な気持ちで、ブラティスラヴァ美術大で勉強された経歴のある絵本作家の福井さとこさんに情報をお尋ねしたのですが、なんと同じ学校に行っていた何人かの日本人作家さんが現地に今もお住まいとのことで、紹介してくださることになり。すごいことになってきた!という感じでした。
  チェコでお会いできた石田菜々子さんには、人形劇のチケットの手配までしていただき……。恐縮ながら、素晴らしい出会いでした。

カレル・ゼマン美術館の看板
大きな書店。新刊書も、古書も両方あります。
チェコの本屋さんの内部。
石田菜々子さんとお会いできました♪

 石田菜々子さんは、チェコの出版社とのイラストの仕事を中心にされているそうです。
現地の仕事をたくさんされる日本人の児童書のイラストレーターさんは、私自身あまり会ったことがなく、、(他に知っているのはフランスのChiakiさんくらい)とても刺激的なお話を伺いました。見せてくださった新刊は、分厚い児童文学の本。担当のアートディレクターさん自身もアーティストで、外見が「海賊っぽいんですよ」とおっしゃっていたのが印象的でした(笑)
 印刷の試み、デザイン、紙の選び方……何もかもが日本と違いました。かっこいい!!

石田さんの新刊。とても凝った装丁で、読み物ですが芸術的なのです。
菜々子さんの悪魔?の紙人形と、
お義母さまお手製のクリスマスクッキー!
石田さんのお友達、あぐさんの人形は、シュヴァンクマイエルにも気に入られたとか!

 たまたま同じ頃に居たため、石田さんのお友達の人形作家、あぐさんをご紹介いただきました。夕方にお会いして、今から観に行くという演劇(ヤン・シュヴァンクマイエルが関わった映像と演劇のミックスした舞台)を私たちも飛び込みで観ることができました。

 ところで、チェコでは新刊の(つまりふつうの)本屋さんの児童書の充実度に心底関心しました。チェコでは絵本よりも、「文章が多い」児童文学などの方が人気があるのだとか。読み物に挿絵のたくさん入った、高学年向けの本がたくさんたくさんありました。中にはちょっと不気味なテーマ、怖い挿絵のものもありましたが、結構そういう本に娘が反応。「これ面白そう!」と釘付けになっていました。読めないのが残念でした。
それから、ノンフィクションというか、学習系の「絵本」が充実していることにも気がつきました。日本だと知識系の本ってデザインよりもとっつきやすさ、というイメージがあるのですが、チェコの知識絵本はとにかく美しい!羨ましいなあと思いました。

 チェコの本屋さんで、スーツケースいっぱいに本を買いたいという衝動をがんばって抑え……。次は絶対に本を買いにくるぞ、と心に決めていました!

クヴィエタ・パツォスカの個展入り口のポスター

 プラハ在住の出久根育さんから、おすすめの展示を教えていただきました。クヴィエタ・パツォスカさんの個展が、由緒ありげな市民ギャラリーで開催されていました。70年代の大きなサイズの銅版画と、彫刻スタジオとのコラボ?で紙で作られたモデルを元にした彫刻展示。紙もいろいろに使えるということを再認識しました。


なんとグラフィティ風の告知が。自由&お洒落ですね。
ビビアナ。BIBに携わる子供美術館の建物。

 さて、いよいよブラティスラヴァです。到着したのが12月31日。福井さとこさんのご紹介でブラチ在住の洞野志保さんと早速お会いすることができました。洞野さんは、画家として活躍しながらスロヴァキアで子育てをしているそうです。みんな逞しく生きているなあ〜。大晦日で、お店も飲食店以外はお土産やさんしか開いておらず、、ということで、洞野さんとゆっくりおしゃべりすることが出来ました♪ 洞野さんは日本でも絵本を出版されています。とても素敵な絵を描かれる画家さんです。
 今回の旅行では、手作りハンバーガーショップをよく利用しました。この日も美味しいハンバーガーレストランで長居をさせてもらいました!

BIB展入り口に設置されたオブジェ。
パネルに入るだけの原画を送ってしまいましたσ^_^;
全て展示してもらえて良かった!


 1月2日になって、やっとBIB展を観ることができました。印象を書くのはなかなか難しいのですが、この展覧会の特徴は「国ごとに展示パネルが分かれている」ことなので、出品国との関連をつい、見てしまうのですね。
 やっぱり国ごとにいろんな価値観がある、ということと、一方でスタイルにおいて一種のグローバリゼーションが子供の本のイラストレーションにも及んでいて、国によっては「いろんなタイプのものができて、オールマイティ型のところ(新興国に多いかな?)」と、「少しこだわって伝統などの色を出すところ」とに分かれる。作家個別にいえばどちらが良いということはない。アートの展覧会として捉えるのはより難しい。それは、原画だけではなくて絵本を見て初めて良さが引き立つ作品も多いから……。面白いんだけど、すごく複雑な感じ。純粋に作品を見やすいのは、一人のイラストレーターをまとめたコーナー(昨年のグランプリ受賞者など)だな〜と思ったり、していました。
ただ、今回は事前にウイーンやチェコで書店を見ていたり、ナミコンクールで実力のあるイラストレーターたちと会ったりしていたので、毎回日本国内で巡回展を見る時よりは色々と考えやすいなと感じましたし、何よりフルボリュームでこそのBIBという思いもあり、見に行けて本当に良かったです。(日本の巡回時には、この頃は日本以外の国は数カ国分しか来ないので)

 お正月休みがあったので、目当てのものが見られる日は1日しかありませんでしたが、BIB展のあと、子供美術館のビビアナでクッキー作り体験をして、書店のART FORUMに立ち寄ることもできました。

可愛い形&美味しかった!
ブラティスラヴァの素敵な本屋さん、ART FORUM。こんなお店が近所にあったらな〜。

 そもそも、今回のBIBを訪ねることに決めた理由は、今まで数回出品経験があるのにも関わらず、自分が出している時に1度も見に行けていなかった……。というのがあります。そして、次もいつになることやら!と思ってえいやと出かけたのでした。BIB展自体は、見に来たのは今回2回目で、前回訪ねたのは2005年。その時に、これまた若気の到りで降矢ななさんとお会いして、すごく励まされた、ということがありました。
 そんなわけで今回も降矢ななさんにお声をかけさせていただき、スロヴァキア在住の日本人の仲間たちや、前回も引き合わせてくださったリュボスラヴ・パリョさんと一緒に夕食会をしてくださり、素敵なひとときを過ごすことができました。私は奈々さんはもちろん、旦那様のペテルさんやパリョさんに再会できたことがとても嬉しく、またお嬢さんとは初対面で、やっぱり絵を描いていて、美大の1年生だということだったので、なんだか勝手に、感無量という気持ちでした。
 ななさん、本当にありがとうございます!大切な思い出となりました。
 次の目的地はブダペストだったのですが、ななさんがブダペストの大学で日本語を教えておられる内川かずみさん(2005年に私も面識あり)にその場で連絡をしてくださり、なんと、ちょうど都合が合うとのことで、急遽お会いできることに!
  

スロヴァキア繋在住のみなさんとご一緒に、夕食会

 さて翌日、列車でブダペストに到着してすぐに内川さんにご連絡。古書店にご案内くださいました。夕食などもご一緒が可能だったので、いろいろとハンガリーの児童書のこと、日本語教育のことなどお話を伺いました。
ハンガリーの印象は、庶民的、お料理がとにかく美味しい、そして廃墟流行り(笑)が独特。

古書店です。いい本がいっぱい。
こちらは児童書専門の新刊書店。明るくてお洒落です。
内川さんが日本で翻訳・出版された
「こぶたのレーズン」など、おすすめの作品を教えてもらいました。
廃墟インテリアの建物で開かれた、フードマーケット。
廃墟らしさをキッチュに改造した、ブダペストのお洒落スポット。
巻いてあるのを剥がしながら食べるチーズ。
タマシュさんのお宅で、ディアフィルムを実演してもらう。

 ブダペストでは、アンティークおもちゃ屋さん巡りをしました。ハンガリーの子供のためのメディアに「ディアフィルム」というのがあり、簡単な家庭用投影機とフィルムのセットになっています。1枚1枚の絵にお話のテキストがついていて、絵を送りながら読み聞かせをするためのものです。夫が友人のアーティスト、タマシュさんから子供の頃の思い出話を聞いていて、ハンガリーに来たら買いたいと思っていたとのこと。新刊書店に行くとその現代版の製品も置いてあるくらい、ハンガリーでは普通のもののようでした。
 仕事場が香港だというタマシュ・ワリスキー(Tamás Waliczky)さんに連絡してみたところ、お正月休みでブダペストにいらっしゃるとのこと!幸運にもご本人にディアフィルム実演をお願いする貴重な機会となりました。

 そんなわけで、久々の東欧旅行は新たな出会い、再開に恵まれ、得難い機会となりました。
  また、食べ物が美味しかった印象がとても強く。なんといっても、チェコビールの美味しさは忘れられません。