ゆきひらの話

偕成社2012

山の中の一軒家に、おばあさんが一人で暮らしていました。ある日、おばあさんは風邪をひいてしまって、動けずに困っていました。すると、古い戸棚のなかで、ことことと何かが動く音がします。おばあさんが子どもの頃、おかあさんがよく使っていた、ゆきひらなべでした。

 


作家のつぶやき
安房直子さんのお話は少し大人っぽくて、素敵で、しかもとびきり不思議なので、子どもの頃から好きでした。その安房さんの作品のなかに、こんなにも田舎の匂いのする、素朴な作品があり、私のテイストにぴったり。この仕事をする前からか、後からかもうわからないんですが、よくりんご花家の夢をみるようにまで、なってしまいました。亡くなったお母さんの思い出、というテーマも、私にはぴったりくるものでした。